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中村 秀夫
JAERI-Research 96-022, 135 Pages, 1996/05
本研究は、軽水炉事故時の気液二相流挙動予測を高精度化するため、水平二相流でのスラグ流の発生条件と関連素過程に対し、従来の小規模、低圧力での実験に基づく予測モデルの改良、又は相関式を新たに作成し、実規模流動への拡張を試みたものである。このため、TPTF蒸気/水試験装置と水平矩形ダクト空気/水試験装置の2つの実規模装置を用い、流動の模擬と可視化観察を行った。その結果、蒸気/水二相流でのスラグ流及び波状噴霧流への遷移境界を良く予測する為、改良Taitel-Duklerモデル、気液界面摩擦係数の実験式、改良Steen-Wallis相関式等が得られた。さらに、これらの改良モデルや相関式を連係して用いると、本研究での実験条件範囲内ではあるが、スラグ流が生じる流量範囲を、発生条件の流路高と系圧力への依存性と共に良く予測できることを確認した。
中村 秀夫; 久木田 豊; 田坂 完二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(7), p.641 - 652, 1995/07
被引用回数:5 パーセンタイル:49.46(Nuclear Science & Technology)ROSA-V/TPTF装置の水平管テスト部を用いた蒸気/水二相流実験(圧力≦12MPa)を行い、スラグ流から波状噴霧流への遷移は界面波頭からの液滴発生により生じ、液滴発生時の気液相対速度は圧力上昇と共に大きく減少することを見い出した。また、LOCA計算コード等に使用されているモデルや相関式の検討から、Steen-Wallis式を気液相対速度をパラメータとして改良すると、TPTF実験での液滴発生開始の圧力依存性が良く予測できることがわかった。更に、比較的低圧(約3MPa)では界面波高が高い為、より小さい気液相対速度で遷移が生じることが分かった。
熊丸 博滋; 久木田 豊
ANS Proc. 1991 National Heat Transfer Conf., Vol. 5, p.22 - 29, 1991/00
圧力:3~12MPa、質量流束:20~410kg/ms、入口クオリティ:0.4~0.9の条件下で、ロッドバンドル内での水-蒸気二相流のドライアウト後の熱伝達実験を行った。最初に、本ドライアウト後熱伝達実験データを、噴霧流域に対するいくつかの熱伝達相関式及び最近の理論モデルと比較した。しかし、相関式及びモデルは実験データをよく予測しなかった。従って、次に、ドライアウト点での液滴エントレインメントについての簡単な考察に基づき、実験データを蒸気流冷却に対するいくつかの熱伝達相関式と比較した。比較の結果、Dittus-Boelterあるいは、Heineman相関式などの蒸気流冷却に対する熱伝達相関式は、噴霧流域に対する相関式より、むしろ本実験データをよく予測することが明らかになった。
岩村 公道; 安達 公道; 傍島 真; 大貫 晃; 大久保 努; 阿部 豊; 村尾 良夫
NUREG/CP-0082 Vol.4, p.429 - 444, 1987/00
平板炉心試験装置(SCTF)を用いた再冠水試験により、炉心半径方向の出力分布が存在すると、高出力バンドルにおけるクエンチフロント上方での熱伝達は促進されることが明らかとなった。このような2次元熱伝達挙動は、局所圧力損失測定値の2次元分布と密接な相関関係にあった。液滴分散流モデルに基づくと、熱伝達率は、輻射項、液滴衝突項、及び蒸気強制対流項の3項の和として表現できる。本モデルにより計算した熱伝達率は、クエンチ発生直前を除けば、SCTF、円筒炉心試験装置(CCTF)、及びFLECHT-SEASET等のデータと比較的良く一致した。従来のBromleyタイプの膜沸騰熱伝達率相関式では、SCTF試験で観察されたような2次元熱伝達挙動を予測することはできなかったが、本モデルを用いると、高出力バンドルにおける熱伝達促進を予測することができた。
岩村 公道
JAERI-M 86-075, 35 Pages, 1986/05
PWR-LOCA時再冠水過程において見られる液滴分散流及び遷移流領域における膜沸騰熱伝達率を調べる為、0.6~0.95のボイド率範囲において定常膜沸騰実験を実施した。この領域内での膜沸騰熱伝達は、熱輻射、蒸気強制対流及び加熱面への液滴衝突の3種類のメカニズムが重畳しているものと考えられる。輻射及び強制対流熱伝達率は、それぞれSeefan-Boltzmannの式とDittus-Boelterの式により評価した。強制対流熱伝達モ-ドでは熱力学的非平衡を考慮した。液滴衝突による熱伝達率についてはForslund-Rohsenowのモデルに基づいて新しい相関式を導出した。本相関式は、蒸気と水の流速、ボイド率、流体物性値及び壁面加熱度の関数である。本相関式では、実験により求めた熱伝達率と良い一致を示した。
杉本 純; 村尾 良夫
JAERI-M 84-131, 223 Pages, 1984/06
PWR-LOCA時再冠水熱伝達に及ぼすグリッドスペーサーの影響を調べるための実験を行った。模擬炉心中央部のグリッドスペーサを移動させてグリッドスペーサの近傍での流動熱水力応答、およびグリッドスペーサ板厚の影響を調べた。クエンテ前の熱伝達率は、グリッドスペーサ直上では直下に比べて約20~50%増加した。液滴分散流領域ではグリッドスペーサ上方での液滴の細分化が、またスラグ流領域ではグリッドスペーサの早期リウェットおよびグリッドスペーサ近傍への蓄水の像かが観測された。このためグリッドスペーサによる熱伝達率の増加は、液滴分散流領域での液滴表面積の増加と、スラグ流領域での膜沸騰熱伝達の像かな主な原因と推察された。本実験に基づいて再冠水グリッドスペーサモデルを開発した。本モデルにより、グリッドスペーサ近傍での熱水力挙動が良く予測されることがわかった。